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わたしのブログ

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続きです。

毛皮の着いた防寒具をつけながら色々な話をしていると「敬礼」と門のほうから聞こえてきた。私も急いで衛兵所の前に並んだ。良く見ると30メートルくらい先から二人の将校が来た。週番司令である。一人は紅白の肩掛けをしている少尉だ。後から軍曹がついてきた。
 一人の衛兵が「異常なし」と敬礼した。私を見た司令は「お前軽勤か。ご苦労さん、ヨシッ。」と言っていってしまった。まもなく二名の動哨が帰ってきた。「ヤァ、軽勤が来ていたか。今も野犬が5、6匹いたが、逃げられたハハハ。野郎今に殺してやる。」といいながらペチカに当って「患者はよいなぁ。俺も患者になりたいなぁ、ハハハ。)とわらって皆和やかである。
 私は夜警だから動哨二名と共に銃を持って着いていけばよい。院内でも1キロ半はある。還るまで40分くらいだ。よい運動になるし道々話をしながら回る。「そういえば回報にないかの患者が軽勤出ると書いてあった。何山と言うのか?」「片山です。」と言ったら「そうか、昼間は何をしている。」「これといって用が無いので寝ているょ。」「そうか、いいなぁ。外出のとき一緒にシャバのの空気をすいに行かないか?」「今度行こう。」と答えると、もう人のが「ハイキングして桔梗の根でも採ってくるか。親父、喜ぶぞ。)親父とは軍医のことだと思う。やはり衛生兵である。(夏になったら、スイカやきゅうりを盗りに行くか。ハハハ。」
 朝、病棟の点呼が終わった頃帰る。病棟の入り口にいる初年兵たちがいっせいに「ご苦労様でした。」と言いながらも食事の支度で忙しい。
 ベッドにはもうニューム食器の一膳飯がついている。隣の村上と言う奴は開いた県瀬戸から来てそうだけれど、食い意地の張った面白い奴で「オイ。片山。更夜食は何だった?」留守中のことを何でも知らせてくれる。私が「うどんだった。旨かったぞ。饅頭も出たぞ。」とかまってやると「畜生。うまくやっていやがるなぁ。」村上は話と言えば食うことばかりである。


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